B:借地人に地代の値上げ交渉する
地代の改訂を長い間怠ってきた為に、相場より低い地代のままで土地を貸しているケースが多く見られます。
低い地代しか徴収できていない底地は不良資産です。定期的な地代の見直しを行い、収益改善を心がけましょう。
- こんな地主さんにおすすめ
- 相場より地代が安くて悩んでいる
- 土地を手放したくない
- 地代収入を増やしたい
地代値上げのタイミング
借地借家法では以下のようなときに地代を値上げすることができると定義しています。
- 土地の租税公課(固定資産税などの土地にかかる税金)の上昇
- 土地価格の上昇その他の経済事情の変動
- 近隣の相場と比べて地代が低いとき
「どうも自分が貸している土地は近隣と比べて賃料が低い」という場合には、値上げの余地があります。
地代値上げ交渉の段階
借地人との交渉段階
地代の金額設定は、当事者間の合意が前提なので、まずは借地人に値上げの交渉を持ちかけます。きちんと値上げの理由を述べて、事情を説明することが大切です。
裁判所における調停段階
当事者間で話し合いがまとまらなかったときは、調停で話し合いをすることになります。
調停は訴訟に比べて、費用が安く済みます。
裁判所における訴訟段階
調停でも交渉不成立の場合、地代値上げ請求訴訟を裁判所に申し立てることになります。
(※賃料の値上げ問題ではいきなり裁判は起こせず、必ず調停を絶たなくてはいけないという決まりがあります。)
そこで、裁判所が選んだ不動産鑑定士が適正な地代を算定して、判決がくだります。
裁判になると多大な労力と時間がかかりますし、それなりの費用がかかります。
当事者間の合意で決まるのが一番理想的ですが、最近は借地人の権利意識が強いので、難しいようです。
値上げをしたいけど、適正地代っていくら?
地主と借地人の当事者間で合意された金額が適正地代というのが借地借家法の建前です。
そして、適正な地代というのは、法律で定められていない為、こうすれば、絶対に適正地代が算定できる!という方法は決まっていないのです。
適正地代を求めるのは、一般の人には不可能といえるでしょう。唯一、これを求めることができるのは、土地鑑定のプロである不動産鑑定士だけです。
適正地代を求める鑑定評価の代表的な手法
裁判での適正地代の算定方法としては、次の5つがあげられます。
- 差額分配法
- 利回り法
- スライド法
- 賃貸事例比較法
- 公租公課倍率方式
裁判の実務ではこれらの中から複数の方式によって求められた地代を総合に検討する総合方式が定着しています。
この中で、目安として一般の人にもわかりやすいのが、⑤の公租公課倍率方式です。
支払っている固定資産税などの税金の倍率から適正地代がどれくらいなのか推定する方法です。
現在では固定資産税・都市計画税の3倍~5倍というのが地代の相場といえそうです。
ただし、これはあくまで目安にすぎません。
裁判による地代値上げの限界点について
地代は継続賃料に分類されます。
継続賃料・・一度合意された賃料の改定であり、契約の当事者が限定された賃料
継続賃料の特徴
- 継続賃料は、当事者間の個別事情の考慮が必要であり、経済的価値だけで図ることはできない。
- 大幅な賃料の値上げは借地人の生活を脅かす為、極端な変化は避けなければならない。(経済的弱者の保護)
よって、賃料の値上げは緩やかでなければならない。 - 地代は地価が急激に上昇する場合においても、値上げ幅は小さく、地価を後追いするものである。
裁判所としては、地価の相場を上がるようなことをよしとする態度はとりにくいので、
相場と同等の地代が取れている場合は、それ以上の値上げはなかなか認めないでしょう。
地代の値上げに関して、裁判所は保守的なので、急激な値上げもあまり期待できません。
交渉をうまく進める自信がない、交渉を切り出すタイミングがわからない・・
というお客様。
当社に管理を委託すると地代値上げのタイミングを逃しません。