D:底地と借地権の交換をする
貸宅地の敷地規模が比較的大きい場合に成立するケースです。
地主の所有する底地と借地人の所有する借地権を交換して、お互いが完全所有権の土地の相当分を取得します。敷地規模が広く、借地人が建替えの検討をしているようなときは良い機会です。権利の交換なので、金銭の負担が少なくて済みます。
- こんな地主さんにおすすめ
- 貸宅地の敷地面積が比較的大きい
- 借地人が建て替えを検討している
また、この方法は税金を抑える効果もあります。通常、土地の固定資産の交換は売買とみなされ、課税対象となってしまいますが、一定の条件下で所定の手続きをすると課税対象にならなくなります。これを「固定資産の交換特例」といいます。
固定資産の交換特例とは?
固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。(国税庁ホームページより)
借地権は土地の種類に含まれるので、底地の一部と借地権の一部との交換も、土地と土地との交換になるので、固定資産の交換の特例を受けることが可能です。
通常の売買では、売買で発生した譲渡益に対して、譲渡税がかかりますが、この特例制度を利用すると税金がかかりません!
ただし、特例を受けるためには適用要件が存在します。
特例を受けるための適用要件
- 交換する資産が固定資産であること。
- 交換する資産は、どちらも土地と土地、建物と建物のように同じ種類の資産であること(底地と借地権はこれにあてはまります。)
- 交換する資産は一年以上所有していたものであること。
- 交換する資産は相手が一年以上所有していたものであり、交換の為に取得したものでないこと
- 交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
(ex. 交換前に宅地として使用していたなら宅地として使用する)
この特例が受けられる場合でも、交換に伴って相手から金銭などの※交換差金を受け取った場合、その交換差金が所得税の課税対象になります。
※ 交換差金・・交換する土地の評価に差があるなどの理由があったときに、その差を埋めるためのお金
- メリット
- 地主・借地人ともに資金の負担が少なくて済む
- 完全な土地所有権となることで、活用・処分しやすくなる
- 長年の借地関係が解消できる
- 担保価値があがる
- 税制上のメリット大(固定資産の交換の特例)
- デメリット
- 借地人の同意・協力が必要
- 上に建物が建っている場合、取り壊さなければならない
- 土地の敷地規模に余裕がある場合でないと、成立しない