底地の問題点1:相続時に高く評価され、物納も困難
底地は、相続税の際に高く評価され、物納も困難です。
相続時の評価
底地は収益性が悪く、売却も難しいので、実際の資産価値は低いです。底地の評価方法にて、ご説明いたしましたが、相続税や贈与税評価の場合は、財産評価基準で土地を評価しますので、更地価格1億円で借地権割合D(0.7)の場合、以下の表になります。
相続税、贈与税評価時(財産評価基準による評価) | 3,000万円 |
実勢価格 | 1,000万円~1,500万円 |
所有権を有している更地だった場合の価格 | 1億円 |
相続税、贈与税の評価時より、実勢価格は安くなってしまうのが実情なのですが、底地は相続のときに、相続税法上、減額要因として取り扱われるわけではありません。
この為、実際の資産価値よりもはるかに高く評価されてしまい、その結果、多額の相続税が課税されてしまうのです。収益性が低く十分な収入も得られないのに、相続が発生したときにはたくさん税金を納めなければいけないのですから、割のあわない資産です。
現金納付か物納か
相続税は現金一括納付が原則です。
ただ、一括で現金が用意できない人のために、例外として「延納」や「物納」という納税方法があります。
延納
分割払いで相続税を支払う方法です。延納をするためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 納める相続税額が10万円を超えること
- 納税期限までに現金納付が困難であるという正当な理由があること
- 納税期限までに延納申請書を提出すること
- 担保提供できること
物納
物納とは、金銭でなく、物で相続税を納付する方法です。現金一括納付もできず、延納によっても納付が困難な場合に限って、「物納」が認められます。
ただし、物納の条件を満たした底地でないと、物納はできません。また、近年、物納の審査条件が非常に厳しくなっていて、底地の物納は困難といわれています。
物納できない底地とは?
以下の条件に当てはまる底地は物納が認められません。もし、該当している場合は、整備することで、物納できる可能性があるので、調べてみる必要があります。
- 契約書上の面積、登記簿上の面積と実測上の面積が一致していない
- 抵当権などの担保権が設定されている
- 借地人と法的紛争がある
- 境界が明確でない
- 隣接地から建物が越境している。もしくは、隣接地に建物が越境している
- 建築基準法上の道路に接していない
- 借地人が不明
- 地主に著しく不利な契約内容
- 地代が供託されている
- 地代の滞納がある
- 地代が近隣の相場と比べて著しく安い(目安が相場の7割程度以下)
- 共有不動産である(但し、共有者全員が持分の全部を物納する場合を除く)
- 土地の形状が悪い(崖地・極端な狭小地・極端な不整形地)
- 土壌汚染がある
- 建物が違法建築である。
以下は物納の可否の目安を表にまとめたものです。
条件 | 物納できる | 物納できない |
契約書 | あり | なし |
地代 | 周辺相場の地代 | 周辺相場と比べやすい地代 |
法的紛争 | 紛争なし | 紛争あり |
境界線 | 明確 | 不明確 |
担保権 | 担保権が設定されていない | 担保権が設定されている |
地代の滞納 | 滞納なし | 滞納あり |
地代の供託 | 供託なし | 供託あり |
土壌汚染 | 汚染なし | 汚染あり |
道路付け | 適法に接道している | 適法に接道していない |
借地人 | 明らか | 不明 |
隣接地からの建物の越境 | 越境なし | 越境あり |
土地の形状 | 問題なし | 問題あり (崖地、極端な狭小地、不整形地) |
建物 | 適法建築 | 違法建築 |
地主に不利な特約 | なし | あり |
底地の悩み問題 解決方法
A:借地の明渡しを要求する
地代を滞納されている。勝手に建て替えされてしまった地主さんにおすすめです。
B:借地人に地代の値上げを交渉する
相場より地代が安くて悩んでいる。土地を手放したくない。地代収入を増やしたいとお考えの地主さんにおすすめです。
C:借地人から借地権を買い取る
借地人が転居を考えている。借地人が建て替えを考えている。借地権を買い取る余裕資金がある地主さんにおすすめです。
D:底地と借地権を交換する
貸宅地の敷地面積が比較的大きい。借地人が建て替えを検討している地主さんにおすすめです。
E:借地人に底地を売却する
底地を換金化したい。借地人と交渉ができる関係。将来の相続を視野に入れて底地を手放したいと考えている地主さんにおすすめです。
F:底地と借地権の共同で売却する
借地人が転居を考えている。借地人が建て替えを考えている。借地人と交渉ができる関係の地主さんにおすすめです。
Z:底地を業者に売却する
借地人との交渉が面倒くさい。出来るだけ早く売却したいと考えている。底地を多く所有していて借地人の数が多い地主さんにおすすめです。